記憶を長期的に保つ「分散学習」のススメ

 

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前回、長期的に見たら「勉強のしすぎ」=「集中学習」は有効でないようと言う話をしました。

では、長期的に記憶しておく方法として、「集中学習」に対する「分散学習」という学習スタイルがあります。

 

「分散学習」が復習の基本

分散学習というのは、

  • 学習と学習の間に時間間隔を空けて勉強する
  • 同じ教科続けて勉強せずに複数の教科を混ぜて勉強する
というような学習法のことを指します。

実は、習ったことをすぐに復習しても3週間後には記憶に残らないことがわかっています。

この「分散学習」こそがテストで良い成績を残すか残さないかの分かれ目だったのです。

記憶をなるべく長く脳にとどめておくには「分散学習」が最適なのですが、イメージは以下の図のような感じです。勉強した時から復習までの間隔(図では間隔1)と復習からテストまでの間隔(図では間隔2)を空けて時間を分散させて勉強します。

 

 

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間隔をあけてしまうとせっかく記憶したものが飛んでしまうと不安になってしまうかもしれませんが、実は脳が記憶を短期記憶(ワーキングメモリ)から長期記憶に移行させるには、集中しない時間が必要なんです。

 

では、実際に勉強から復習までの間隔1と復習から勉強までの間隔2をどのくらいの間隔を空けたら良いかはすごく気になりますよね!!

 

復習をするときのベストな時間間隔「1:5の法則」とは??

CepedaさんとRohrerさんという方の研究で、「1:5の法則」というのがあります。

これは、分散学習の時の時間間隔を「間隔1:間隔2=1:5」程度にするといいですよっていう法則のことです。

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つまりどういうことかというと、例えば、

  • 勉強開始からテストまで=35日だとすると、間隔1=5~7日間くらい空けてから復習する良いということになります。
  • 勉強開始からテストまで=7日だとすると、間隔1=1~2日間くらい空けてから復習する良いということになります。
ここでのポイントは間隔1をだいたいな数字にすることです。そこまで厳密にしなくても十分です。
要するに、テスト本番までの日数が重要で、そこから逆算して「1:5の法則」というテクニックを使えばよいわけです。
この「1:5の法則」は本番で記憶したことが1番脳から取り出しやすくするという法則なのでぜひ試してほしいなと思います。
 
ここで、テストまでの日数が長くなれば長くなるほど、間隔2の期間が長くなり、「本番になったら忘れてしまうんじゃないの?」という疑問が生まれます。
たしかに、1回復習しただけでは、間隔2の期間が長くなるほど忘れやすくなります。
間隔2の期間で何回か復習しないといけません。ここでも分散学習が生きるのですが、実は復習の回数と間隔は決まっています。
 

2回目以降の復習はテストまで均等におこなう!!

これまでの話だと、間隔2の期間も「1:5の法則」使えばいいじゃないの??っていう感覚になるんですけど、実は2回目の復習からテストまでは均等におこなった方が良いということがわかっています。

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つまり、最初の復習は「1:5の法則」を使って残りの復習は均等にバランスよくやればいいよっていう話ですね。
では復習って言っても一体何回やればいいのかという話をします。

復習の回数は5回やれば十分!!

実は復習の回数は5回やれば十分であるということが科学的にわかっております。5回復習すれば記憶は定着して、逆に5回以上復習しても記憶の定着率はほとんど変化がないわけです。

 ただし、これは1度理解したものを復習する場合は5回で十分だよという話であることを注意しておいてください。

まとめ

  • 記憶の定着には「分散学習」
  • 最初の勉強からテストまで日数を把握する
  • 最初の復習は「1:5の法則」を使う
  • 2回目以降の復習は均等に復習
  • 復習の回数は5回で十分

というわけで、長期的に記憶するための勉強法でした。

 

  

 

たくさん勉強しているのにテストでうまくいかないわけ

 

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テストで良い成績を取りたくて、勉強を一生懸命頑張ってるのに、なかなか得点に結びつかないっていう人も結構いるのではないかと思います。そんな中、勉強以外で忙しいそうな人ほどテストでは上位の成績を取ったりします。私も学生の時は前者の人間だったので、「なんで、こんなに勉強しててテストでパッとしないのだろう??」と悔しい思いをしたことがあります。もちろん勉強せずにテストで良い得点が取れるわけないので成績優秀な人だって一所懸命勉強しているのでしょう。では、一生懸命勉強している人でも「良い成績取れる人」と「良い成績が取れない人」の差は何でしょうか?

 

違いは「勉強のしすぎ」だった!!

 直感的にも復習が需要なのはわかるかと思います。しかし、ただ復習したら良いってもんでもないんです!

 ここで言う「勉強のしすぎ」とは「集中学習」による勉強法のことです。

集中学習とは

・時間の間隔を空けずに勉強する

・似たような問題を繰り返し勉強する

・一夜漬けのような詰め込み勉強

というような学習法です。

ようするに、「習ったらすぐ復習」スタイルのことを言います。

実際に、昔から学習したことを長期記憶に止めるには「集中学習」が有効であると考えられてきました。

ところが、心理学的にはそうでもないようなのです!!

 

 長期的にみたら集中学習は有効ではない?

2005年のアメリカの心理実験において、実験参加者は130名の大学生で、2つグループに分けました。

  1. 集中学習するグループ
  2. 集中学習しないグループ
このとき、集中学習グループは集中学習しないグループの4倍の勉強量をこなしました。学習の内容は「国名とその都市の名前」をセットで覚えるというものです。
学習後、1週間あるいは3週間あけてテストをしました。
 

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結果は、

  • 1週間では、集中学習の勝利
  • 3週間では、2グループの得点の差はほとんどなかった

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集中学習グループは集中学習しないグループの4倍の勉強量なのにもかかわらず3週間たつとほとんど差がないのはびっくりですね!つまり、集中学習は長期的に記憶に残らないことがこの実験からわかります!! 

 

まとめ

  • テスト1週間前などの短期的なものには「集中学習」は有効である。ただし、3週間後にはほとんど忘れる。
  • 入試などの試験で、なるべく長期的に記憶しておきたい場合は「習ったらすぐ復習」=「集中学習」のよううな勉強法は有効ではない。
 
次回は長期的に記憶しておくにはどのように復習すればよいか書きたいと思います。

 

 

朝の1時間は夜の2時間分の価値に匹敵する!!

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朝の1時間は夜の2時間分の価値に匹敵する!?

テスト前と言ったら、夜遅くまで、なるべく多く知識を詰め込んで当日のテストまで勉強をしていたのではないでしょうか?私の場合は、結構ギリギリまで粘って当日まで徹夜をしながら勉強をしていました。。。

 

ところが、なんと夜の時間に勉強するよりも朝の時間に勉強するほうが2倍以上の生産性をもたらすらしいんです。

 

つまり、いつもより1時間早く起きて1時間勉強したら、夜に2時間勉強したのと同じくらい価値があるということになります!!

これは驚きました。あんなに眠い中、必死こいて勉強していたのに、朝の勉強の2分の1しか価値がなかったなんて・・・(泣)

同じ勉強時間なら圧倒的に朝早く起きて勉強した方がいいってことですね。。。

 

あのスティーブ・ジョブスも早起きだった!?

実は、スティーブ・ジョブス以外にも世界の名だたる経営者はみんな早起きして、朝の時間を有効活用していたそうです。

 

アメリカのデューク大学の心理学・行動経済学者のダン・アリエリーは、

「朝、目覚めてからの2時間が最も生産性の高い時間帯であり、もっともクリエイティブな発想が必要なことに費やすべき」

と言っております。

つまり、朝は、意志力のHPがマックスの状態だから、夜よりも高い集中が発揮できるということなわけです。

 

科学的な面で見ても勉強は朝方に切り替えていった方がいいですね。

 

朝は覚える勉強より考える数学の勉強のほうがいい

人間は朝のほうがクリエイティブになれるのだから、朝は数学のような考える必要がある勉強がよいのではないでしょうか。

そして、夜は暗記系の勉強にして、なるべき早く寝る!これが1番いいのではと個人的には思います。。。

 

とは言っても、「なかなか朝早く切れないよ!」という人がほとんどだと思います。

最初は30分早く起きて30分勉強する。そのため、30分早く寝る。から始めていっていいかと思います。

夜30分を朝の30分にあてれば、1時間分の価値になるので、意外と得をしている気分になれます。

 

私もちょっとずつ夜型の勉強から朝方の勉強に切り替えていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

習慣をつけやすくする「ハーバードの20秒ルール」

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やりたい習慣とやめたい習慣

ハーバード大学ショーン・エイカー博士の著書「幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論」で「ハーバードの20秒ルール」というのが勉強の習慣づけに役立ちそうだったのでメモ。。。

勉強でも運動でも何か新しい習慣を身に着けようとすると、スタートは勢いよくいけるのですが、その後なかなか続かないなんてことがよくあります。

逆に、「寝る前にスマホを見てしまう」「ついついお菓子を食べすぎてしまう」などやめたいと思っている習慣はなかなかやめることができなかったりします。

実際、「ハーバードの20秒ルール」を試すと結構習慣づけに役立ち、意志力の節約にもなります。

 

ハーバードの20秒ルールとは

ハーバードの20秒ルールというのは、簡単に言うと、

1.やりたいと思っている習慣は今の状況よりも20秒早くできるようにする。

 

2.やめたいと思っている習慣は今の状況よりも20秒以上かかるようにする。

ようするに、やりたい習慣はめんどくさいと思う前に取り掛かれるようにし、やめたい習慣はめんどくさく思うようにさせるということですね!!

 

例えばこんな使い方・・・

1.毎日英単語を覚える習慣 → 机に上に単語帳を常に開きっぱなしで置いておく

 

2.試験前になるとスマホを見てしまう習慣 → スマホを何か箱の中に閉まって押し入れの1番奥に入れる

 

やりたい習慣はなるべく考えずに実行できるように環境を常に整えておくことが重要ですよ!っていう話ですね。やめたい習慣も同様にやれない環境作ることが重要。。。

 

実際、机の上に置いてあったお菓子を机の中に閉まっただけでも、ついついお菓子を食べてしまう量が減ったというデータもあるので、いろんな場面で使えそう。。。

 

 

 

 

 

勉強に集中できない人にオススメの勉強法!

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30分の積み重ねで最大の成果を得る方法は?

勉強に集中できる継続時間が短い人にオススメの「ポモドーロ・テクニック」を利用した勉強法があります。

 「ポモドーロ」という名前はイタリア語で「トマト」という意味で、作家のフランチェスコ・シリロがトマト型のキッチンタイマーを利用して考案されたものらしいです。

 私も勉強には集中できるタイプではなく、すぐに漫画やテレビの誘惑に負けてしまうことが数えきれないほどありました。

 そんな私でもこの「ポモドーロ・テクニック」を勉強に試したら思った以上に集中でき、生産性も上がったので紹介します。

 

ポモドーロ・テクニック」とは?

 ポモドーロ・テクニックとは、25分の集中と5分の休憩を繰り返すというもの

やり方は非常にシンプルで、ストップウォッチやキッチンタイマースマホのアラーム機能などを使い、やるべき勉強を25分ずつ分けて、5分の休憩を挟みながら勉強していくだけ。

ここでのポイントは「もう少しやりたい」というところであえて、休憩を挟むことです。これは休憩後の集中力を高める効果があります。

「25分でもまだ長い」という人は「15分集中+3分休憩」でもいいかと思います。やっているうちに「集中力」が鍛えられて、自然と時間が伸びていきます。

ようするに、飽きる前に焦らしてとっとと休憩すれば、「もうちょっとやりたい」というモチベーションが休憩中にも保たれて、勉強の再開をスムーズにすることができるっていうことですね。

 

最新の研究では、人間が集中できる時間は十分鍛えられている人で「120分」

 普通の大人でも子供でも1つのことにじっと集中できるのはせいぜい30分くらいで、もともと人間は集中が持続しない性質を持っています。

実は集中力があると言われている人ほど、上手く休憩を挟み、短時間の集中を繰り返しています。

よって、「ポモドーロ・テクニック」を勉強に生かすのは科学的に見ても有効ではないかと思います。

 

5分は本気で休憩する

 ポモドーロ・テクニックで勉強するときに守ってもらいたいルールが1つあります。

それは「5分間はしっかり休憩」ということです。

しっかり休憩とは、少し目を閉じて目を休めたり、飲み物を取りに行ったり、トイレに行くなどの休憩です。なぜかというと、人間の脳は無意識のとき脳が整理されるからです。例えば、わからない数学の問題も少し休憩して無意識モードに入ったときに解法がひらめいたりすることがよくあります。脳は無意識の状態の方が問題を広く全体的に見ることができるので、アイデアが浮かびやすいのだそうです。

ですから、休み時間によくやりがちな「LINEのチェック」や「スマホのゲーム」をやることは「脳が無意識モード」にならないのでやらない方がいいということですね。

 

まとめ

 なかなか勉強に集中できないときは、「25分集中+5分休憩」で少しずつ成果を積み上げよう!

私もポモドーロ・テクニックを使うと自分が思った以上に集中できていることに驚くのですが、だいたい4セットくらいで集中が切れてしまうので、そのあとは少し長めに休憩を挟んだり、思い切って別のことをしたりしてメリハリをつけています。以上勉強に役立ちそうな科学的知識でした。ぜひ試してみてください!